伝説的デザイナー、フィービー・ファイロが、3年半の沈黙を経て、自身の名を冠したブランドでファッション業界にカムバック!
フィービー・ファイロが、ファッション業界への復帰を発表し、彼女自身の名を冠したレーベルを立ち上げるというニュースが世界中を駆け巡った。2021年7月12日、元「セリーヌ」のクリエイティブディレクターは、待望のオリジナルレーベルのウェアおよびアクセサリーラインをローンチするという声明を発表したのだ。
「制作に戻ることはエキサイティングであり、信じられないくらい充実しています」と、48歳の天才デザイナーはコメント。「世界中の人々と再会することを非常に楽しみにしています。独立して、自分の言葉でブランドを運営し実験することは、私にとって非常に重要なことです」
発売は2022年1月予定。しかし、このロンドンを拠点とするレーベルについては、ほとんど明らかにされていない。わかっていることといえば、ウエアとアクセサリーは「並外れた品質とデザインに根ざしている」とフィービーが英「WWD」紙に語ったこと。Women's Wear Dailyは 以前、フィービーがサステナビリティに焦点を当てたブランドのチームを編成していたと報じていた。
フィービーが「セリーヌ」を去ったのは2018年。ロンドンのセントラル・セントマーチンズを卒業後、2001年に元クラスメイトのステラ・マッカートニーから引き継ぐ形で「クロエ」のクリエイティブ ディレクターに就任。のちに、大手ファッションハウスのデザイナーとして初めて出産休暇を取得。その後、2006年に「クロエ」を退任後、「セリーヌ」のクリエイティブ ディレクターとして10年間指揮を執った。
たとえ、フィービーの名を知らないとしても、2000年代初期以来、世界中の女性のトレンドを背後で糸引いていた彼女の影響力は知ってるはず。それほどまでに彼女の影響力は大きく、新しいトレンドワードを生み出した。“Philophiles(ファイロフィル)”は、フィービーの熱狂的な支持者を指し、“Céline- ification”はフィービーの作品がファッション業界全体に及ぼす変革効果を表す言葉として使用された。そして世界中で数え切れないほどのコピーデザインが生み出された。
フィービーはインタビューをほとんど行わず、ソーシャルメディアとも距離を置いていた(「最もシックなのは、Google上に存在しないことです」と彼女はかつて語っていた)。フィービーは間違いなく世代の静かな代弁者であり、服を通して女性に語りかけた。彼女は世界中の女性に、感性の変化に話しかける服を提供し、家庭と職場で新しい安心感をもたらし、キャラクターと快適さを優先した。また、「セリーヌ」で彼女の下で働いていた「ボッテガ・ヴェネタ」のダニエル・リーや、デザイナーのピーター・ドゥ、「ロック」のロック・ファン、「ヴィクトリア・ベッカム」のデザイン・ディレクターであるイラリア・イカルディなど、彼女のスピリッツを受け継ぐ新世代の才能を生み出した。
フィービーは、2009年の「セリーヌ」デビュー当時、「トレンドを多く生み出すよりも、ワードローブのアイディアに取り組むほうがいいと感じました」と語っていた。「私は“時の試練”に耐えるものを作るために全力を尽くしました」。彼女の活動休止によって、トレーナーと合わせるワイドレッグパンツ、ビッグカフのシャツ、キャメルのクロンビーコート、ピロークラッチを十分に手に入れることができない女性が多数存在する。
「ルイ・ヴィトン」、「ジバンシィ」、「ティファニー」などの人気ブランドを多数擁する世界最大のラグジュアリーコングロマリットであるLVMHモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトンは、この新しいレーベルの少数株主となる。LVMHとの利害関係について、フィービーは次のように述べている。「私は長年、LVMHと非常に建設的で創造的な協力関係を築いてきました。したがって、この新しいプロジェクトに再接続することは自然な流れです」。LVMHの会長、ベルナール・アルノー氏は、フィービーの新しいベンチャーを「起業家の冒険」と表現し、彼女を「現代で最も才能のあるデザイナーの1人」と表現した。
世界中が待ち焦がれるクリエイティブ ディレクターによる新ブランドに、私たちは期待しないわけにはいかない。今後数年間で、私たちの服装、アクセサリー、ファッションの見方が完全に変わるだろう。
そこで、フィービーの新ブランドのローンチを待つ間、これまでの彼女の最も記憶に残る瞬間をプレイバック!
「クロエ(Chloé)」の”パディントン”バッグ
フィービが2004年に発表した大ヒットバッグ。独特のパドロック(南京錠)が付いたデザインは、ハル・ベリーからニコール・リッチーまで、多くのセレブが持ち歩いたノーティーズ最・ファッションを代表するスタイルのひとつ。
「クロエ」の元クリエイティブ ディレクター、ナターシャ・ラムゼイ・デヴィは2019年、再解釈を加えた“パディントン”バッグをリバイバルさせた。
「クロエ(Chloé)」のバナナプリント
バナナプリントのヴィンテージトップを着たケイト・モスをフィーチャーした写真に触発されたフィービーは、スタイリストのベイ・ガーネット(Bay Garnett)に電話して、それを借りられないか?と連絡したと言われている。そして次シーズン、バナナプリントは「クロエ」2004春夏コレクションの一部としてランウェイに登場。
「セリーヌ(Céline)」のスカーフプリント
「セリーヌ」2011春夏コレクションのスカーフプリントは、100万枚以上のコピー商品を生み出し、今でもハイストリートで多く目にすることができる。
スーパーモデルのダリア・ウェーボウィをフィーチャーしたキャンペーンは、無限にインスタグラムに掲載され、カニエ・ウエストは、2011年のコーチェラフェスティバルで「セリーヌ」のスカーフシャツをまとってパフォーマンス。
2019年には、ラッパーのトラヴィス・スコットもスカーフシャツを着用。