講演会(2014/04/14)


勁草塾設立記念講演会
「激動する世界と日本」
講 師
作家/元外務省主任分析官 佐藤 優 氏
主 催
一般財団法人 勁草塾
後 援

開催日
2014年04月14日
佐藤 優



講演の概要
【「佐田勇」の紹介】

 これまでも、「国境のインテリジェンス」や「動乱のインテリジェンス」の著作のなかで、我が国の安全保障政策、特に国境を巡る政府・政党・外務官僚などのパワーバランスを俯瞰しながら、「外交とはなにか、領土問題とはなにか」を問うてきた。


 このたび上梓した「小説北方領土交渉 佐田勇の告白」では、北方領土問題解決の重要な鍵を握るのが、意識を持った政治家であり、外務省ロシア課の胆力であるという事を、事実に基づいて述べている。もちろん、齋藤勁さんにも、日露首脳会談後の領土交渉を巡る緊迫した政府と官僚(私)のやりとりの場面や外務省の人事問題の場面で、当時の内閣官房副長官としてご登場願っているわけだが、現在も進行中のデリケートな外交マターであるので、すべてフィクションという事にして、名前を変えていただいている。ご一読いただければありがたい。
【ネコ好き】
 私と勁草塾代表の齋藤さんとはネコ好きでも共通している。現在は5匹の猫のために、マンションではなく一軒家を借りて住んでいる。いずれも捨て猫かノラで、私が保護しなくては生きていけない様子だった。ネコは人間と違って裏切らないのでとても気楽につきあえる。
【緊迫するウクライナ】
 今、ウクライナ情勢が非常に緊迫している。クリミア半島はロシアにより事実上併合が完了し、なお、ウクライナ東部において親ロシア派の武装グループと、欧州よりの姿勢を強めるポロシェンコ大統領との衝突は止まらない。今後、エネルギーの供給問題などでロシアの圧力が増してくることが予測できるが、EUやG7という枠組みがどのようにウクライナ危機に対処していくのか、その中でロシアとの領土交渉を進展させたい日本はどのような立ち位置をとるのか注視しなければならない。
 私の母は沖縄の久米島出身であり、私自身も東京で活動しても沖縄人と日本人の複合アイデンティティを持っているので、祖国が分断される苦しさを他人事として考えられない、遠隔地ナショナリズムのようなものを内包している。
【沖縄の感情】
 そのナショナリズムについて。普天間基地の辺野古埋め立て地への移設に関しても、中央政府は「沖縄県民の基地負担に対する感情」を正確に理解しなければならない。琉球王朝から明治政府による沖縄処分、そして米軍の執政下となり本土復帰、まさに支配と併合の歴史に他ならない。県民はもはや左翼が反対して保守がカネを運んでくるという発想から脱却している。日本国土のわずか0.6%にすぎない土地に米軍基地の74%が存在している現実、普天間飛行場を沖縄県内に移設するという発想自体が、この不平等を変更しないという意思表示なのか?